ベンチプレスのグリップ幅に、全員共通の「何cmが正解」はありません。体格と動作に合わせて確認し、決めた幅をcmやバーの目印で再現できるように残しましょう。手幅を変えた日は、以前の重量・回数へ単純に上乗せせず、新しい条件の記録として比べます。バーベルベンチプレスを続けながら、広くするか狭くするか迷っている人向けのガイドです。

手幅が変わった日を、次の比較の起点に

  1. 幅を再現する

    測る指・cm・同じバーの目印を残し、軽い負荷で動作を確認。

  2. 変更日は分ける

    例:65cmから59cm。以前の重量と直接比較せず別条件に。

  3. 同条件の前回へ

    同じ幅・可動域・休憩・余力で、各セットの回数を比べます。

数値は記録例で推奨幅ではありません。重いkgや筋活動の差だけで、筋肥大や安全性を判定しません。

何cmにする?まず体格と前腕の位置を確認する

グリップ幅とは、バーを握る左右の手の間隔です。「肩幅の何倍」や「ナロー・ワイド」という表現だけでは、測る場所や本人の体格が違うと同じ幅になりません。cmで記録する場合は、例えば左右の人差し指の同じ位置どうしを測る、と基準をそろえます。

NSCAジャパンの技術資料は、上腕が床と水平になる位置で肘が約90度になる手幅や、手首を真っ直ぐに保ち前腕を床に対して垂直にすることを確認点とし、手幅は個人の特性に合わせて柔軟に考えるとしています。数値だけで幅を決めず、軽い負荷で制御できる動作かを確認するための出発点です。

  1. 指導者に動作を確認してもらうか、軽い負荷で左右の前腕の位置と安定性を確かめる。手幅だけを変えて肘や手首を無理に合わせない。
  2. 無負荷のバーなど安全な状態で幅を測り、同じバーの目印にどの指を合わせたかも残す。重量を支えている最中に測らない。
  3. 次回も再現できる幅を一つ選ぶ。初めての幅では以前の重い重量をそのまま試さず、制御できる負荷から確認する。

参考:NSCAジャパン:ベンチプレスの実技検定・エクササイズテクニック

広い方が胸に効く?挙上重量・筋活動・筋肥大を分ける

Saeterbakkenら(2021)は男性28人(筋トレ経験者15人、初心者群13人)を対象に、2回の慣熟後、狭い・中間・広い手幅で6RMと表面筋電図を比較しました。6RMとは、所定の方法で6回挙げられる最大重量です。狭い幅は脇の間隔を基にした人差し指間の距離、広い幅は81cm、中間はその間でした。

両群とも、狭い幅の6RMは中間・広い幅より低く、中間と広い幅では明確な差を認めませんでした。大胸筋の測定部位でも幅による明確な筋活動差を認めませんでした。上腕三頭筋などには条件や群で差があり、「広くするほど胸が育つ」「狭くするほど腕だけに効く」と単純化できません。

対象は若い男性で、痛みや傷害で最大努力が妨げられる人は含まれていません。普段の握り幅への慣れも結果に関係し得ます。幅を狭めた日に重量が下がっても、それだけで筋力が落ちた、失敗したと判断せず、変えた条件を残します。

参考:Saeterbakkenら(2021):初心者・経験者のベンチプレスで手幅と6RM・筋活動を比較

肩の負荷の研究から、傷害予防を断定しない

Noteboomら(2024)は経験者10人(男性9人・女性1人)に、16kgのバーで21種類の技術条件を行ってもらい、動作と力から肩関節の反力をモデルで推定しました。手幅や肩甲骨の位置によって推定負荷が変わり、狭い幅では一部の圧縮力などが低下しました。

ただし軽い負荷のモデル推定であり、傷害の発生を追跡した研究ではありません。著者も実際の傷害リスクを特定できないと明記しています。「肩幅の何倍なら絶対に安全」とは言えず、高重量の自分へそのまま換算できません。幅だけでなく、動作の安定性や症状も確認します。

参考:Noteboomら(2024):ベンチプレスの技術条件と肩関節負荷のモデル研究

手幅を再現する「設定カード」を残す

ここからは研究で検証された最適プログラムではなく、次回の比較条件をそろえるために本記事で整理した実践案です。手幅の名前だけでなく、測る位置と動作の条件を残します。

表は左右にスクロールできます。

設定カードの例:数値は架空で、推奨の幅ではありません
残す項目記入例
器具と重量の単位同じジムのフラットベンチA/バーベル込み合計kg
手幅の測り方人差し指の中心間65cm
バーの目印同じバーの外側リングから、人差し指が内側に何cmか記録
可動域・切り返し胸に軽く触れ、反動なし。静止の有無も固定
セットの比較条件本セット/同じ種目順/休憩3分/実績RIR

バーを替えたときは目印の位置が同じとは限りません。cmと使う指も確認します。幅と同時に可動域、胸での静止、種目順まで変えた場合は、回数差を手幅だけの効果として読まないようにします。

手幅を変えて重量が下がった日の読み方

次は架空の記録例です。比較説明のため3本セットを抜粋しており、全員に3セットを勧めるものではありません。休憩3分・同じ可動域で行い、各セットの実績RIRも残した想定です。65cm・59cmは本人が確認した設定例で、推奨値ではありません。

表は左右にスクロールできます。

幅変更の日と、その次の同条件を分ける例
記録手幅合計重量各セットの回数/RIR入力kg×回数の合計
A:変更前65cm60kg8/2、8/1、7/11,380kg
B:幅を変更59cm55kg8/2、7/1、7/11,210kg
C:Bと同じ幅の次回59cm55kg8/2、8/1、7/11,265kg

Aは60×(8+8+7)=1,380kg、Bは55×(8+7+7)=1,210kg、Cは55×(8+8+7)=1,265kgです。AとBは幅が違うため、合計の低下をそのまま停滞とは扱いません。BとCは同じ条件なら合計回数が22回から23回へ1回増えたと読めます。この合計値から筋肉への刺激量や成長率を計算することはできません。

  1. まず手幅・器具・可動域・静止の有無・種目順・休憩が同じかを見る。異なる回は分ける。
  2. 同じ条件の前回と、各セットの重量・回数・RIRを比較する。回数が増えても反動や可動域が変わっていないか確かめる。
  3. 次に幅を変えるか、同じ幅で回数を確認するか、一つの方針を次回メモに残す。重量増は目標回数と余力も見て決める。

REPS LOGでグリップ幅を比較条件にする

  1. 最初のセットを記録する前に「実施条件を記録」を開く。「グリップ・アタッチメント」に「順手/人差し指中心間59cm/バーの目印」を入力する。
  2. 「ジム・マシン識別」と「可動域・フォーム条件」に器具、胸での切り返しなどを残し、「実施条件を保存」を押す。次回にも使う条件はメニュー編集で設定する。
  3. 重量・回数は実際の値にし、「強度・セット詳細」で実績RIRを残して「このセットを記録」を押す。
  4. 当日の途中で幅を変える場合、記録済み種目の実施条件は変更せず、「種目を追加」で同じベンチプレスを追加し、別条件を保存する。
  5. 次回は同じ表記の実施条件で始める。終了後の「履歴」と「次回メモ」も使い、比較したい幅と確認点を残す。

前回表示と通常の重量候補は、種目・器具・重量単位・実施条件などの一致を見ています。幅の表記を変えると別条件になり得るため、同じ幅は同じ書き方で保存しましょう。アプリが身体に最適な手幅を診断したり、違う手幅の重量を換算したりする機能ではありません。

よくある質問

ベンチプレスは81cm幅で握ればよいですか?

81cmは紹介した研究の広い条件で使われた値で、全員への推奨値ではありません。体格と前腕の位置、動作の安定性を確認し、自分が再現できる幅を残します。

本文の説明・根拠を確認する →

ナローにして重量が下がったら筋力が落ちていますか?

幅が変わった記録だけでは判断できません。新しい幅を別の比較の起点にし、次回の同じ幅・可動域・休憩・RIRで重量と回数を比べます。

本文の説明・根拠を確認する →

参考資料と編集方針

研究の対象者・条件・期間と、本文の適用範囲を確認してください。抄録のみを確認した資料は下記に明示しています。図解の数値は説明用の例で、研究参加者や利用者の実績ではありません。

  1. NSCAジャパン:ベンチプレスの実技検定・エクササイズテクニック

    学会の公式PDF全3ページを確認。体格に応じた手幅、手首と前腕の位置、安定した動作の基準を参照。実技指導の資料であり、特定のcm数による筋肥大や傷害予防を検証した研究ではありません。

    参照日:
  2. Saeterbakkenら(2021):初心者・経験者のベンチプレスで手幅と6RM・筋活動を比較

    原著PDFの対象・方法・結果・考察・限界を確認。男性28人、2回の慣熟後の6RMと表面筋電図の比較。長期の筋肥大や傷害発生率は測定していません。出版社の通常HTMLは取得制限があったため、同出版社の全文PDFを参照しました。

    参照日:
  3. Noteboomら(2024):ベンチプレスの技術条件と肩関節負荷のモデル研究

    原著全文の対象・16kgの実験条件・結果・限界を確認。経験者10人の動作・力から肩の関節反力を推定した研究。実際の傷害リスクを特定できないことを著者自身が限界として明記しています。

    参照日:

作成:REPS LOG(個人運営)。AI補助で作成し、専門家の監修は受けていません。資料の確認範囲は上の注記に示しています。制作・確認の手順と訂正方針をご覧ください。