筋肥大を目指すなら、回数を8〜12回だけに限定する必要はありません。まずは同じ動作を繰り返せて、セット終了時の余力を判断しやすい回数帯を選びます。この記事は、メニューの目標回数を決めたい人に向けて、研究で分かることと、次回に比較できる記録方法を整理します。

レップレンジとは?回数と余力を分けて考える

レップは動作を繰り返す回数、レップレンジは「8〜12回」のような目標回数の範囲です。ここではウォームアップではなく、筋肥大を目的に行う本セットの回数を扱います。

「10回行った」と「10回が限界だった」は別の記録です。同じ重量でまだ何回もできそうな10回と、同じフォームではもう続けられない10回は、回数だけでは区別できません。RIRは、同じ動作ならあと何回できそうだったかの推定値です。

8〜12回と高回数を比べた研究から分かること

Mortonら(2016)は、筋トレ経験のある若い男性49人を対象に、12週間のトレーニングを比較しました。重い負荷で8〜12回の群(約75〜90%1RM)と、軽い負荷で20〜25回の群(約30〜50%1RM)が、いずれも各セットを自発的な限界まで行いました。除脂肪量と測定した筋線維断面積は両群で増え、群間に有意な差は認められませんでした。

Mitchellら(2012)は、筋トレ未経験の若い男性18人の脚を異なる条件に割り当て、膝を伸ばす運動を10週間行いました。30%1RM・3セット、80%1RM・1セット、80%1RM・3セットを疲労による限界まで行う条件では、大腿四頭筋の筋体積の増加に有意な群間差は認められませんでした。小規模で、片脚の特定種目を使った研究です。

この2件は「高回数は筋持久力だけで、筋肥大には使えない」という単純な区分には当てはまりません。ただし、有意差がないことは完全に同じ効果の証明ではありません。若い男性の限界まで行う条件から、すべての年齢・性別・種目や、余裕を大きく残した軽いセットへ結論を広げることはできません。

最大筋力も同じ結論とは限りません。Mortonらではベンチプレスの1RM増加は重い群で大きい結果でした。筋肉を大きくする目的と、特定種目で1回の最大重量を伸ばす目的は分けて考えます。

参考:Mortonら(2016):経験者における高重量・低重量トレーニングの比較Mitchellら(2012):負荷とセット数が筋体積の変化に及ぼす影響

目標回数は、動作と続けやすさから選ぶ

まずは慣れた1種目で、比較できる回数の範囲を一つ決めます。たとえば8〜12回や12〜20回は設定の例であり、全員に共通する最適値ではありません。今の回数帯で動作が安定し、継続できているなら、軽い重量でも筋肥大できると知っただけで変更する必要はありません。

表は左右にスクロールできます。

回数帯を試す際の判断例。優劣を固定する表ではありません
現在の状態見直すこと
重くすると反動や動作の省略が増える回数だけを達成扱いにせず、重量を下げて同じ動作を保てるか確認する。
高回数だと息切れで先に止まる狙った筋群の余力を評価できたかメモする。休憩や回数帯を見直し、息切れをRIR 0と決めつけない。
器具の重量刻みが大きい次の重量を無理に使う前に、今の重量で扱える回数の範囲を検討する。
1回の最大重量を伸ばしたい筋肥大の回数選びとは目的を分ける。高回数だけで最大重量の練習を置き換えない。

セット終盤の熱さや苦しさだけでは、あと何回できるかは分かりません。RIRが判断しにくい日は無理に数値を決めず、「息切れで終了」「余力は不明」と残せます。痛みが出た場合は、目標回数を埋めることより中止・見直しを優先してください。

回数帯を試すときは、種目、可動域、順番、休憩、セット数まで一度に変えない方が、何を変えた記録なのか整理しやすくなります。数回のトレーニングで扱いやすさを確認しても、それだけで筋肥大の大小を判定できるわけではありません。

記録例:回数を増やした日を、そのまま成長と比べない

以下は、同じケーブルカールで目標を8〜12回から15〜20回へ変えた架空の例です。同じマシンの表示重量を使い、可動域・順番・セット間休憩はそろえたとします。重量や3セットという数は記録例で、推奨処方ではありません。

表は左右にスクロールできます。

架空の実績例。RIRは各セットの自己推定
条件変更前変更した日
目標回数8〜12回15〜20回
表示重量20 kg15 kg
1セット目12回/RIR 220回/RIR 2
2セット目11回/RIR 218回/RIR 2
3セット目10回/RIR 116回/RIR 1
合計回数33回54回
表示重量 × 合計回数660 kg810 kg

20 ×(12+11+10)=660、15 ×(20+18+16)=810です。重量×回数の合計は増えていますが、この数値は筋肥大の量を測っていません。回数帯を変えた2日を比べて「810の方が効果が高い」「回数が増えたから筋力が伸びた」とは判断できません。

  1. 変更した日を15〜20回帯の比較の起点にする。目標を変えた理由と、息切れ・動作の違いも残す。
  2. 次回も同じ重量と実施条件で、各セットの回数とRIRを照合する。回数だけ増えても、前回より限界に近づいた結果かもしれない。
  3. 狙った回数と動作を保てないなら、休憩や重量など見直す条件を一つ選ぶ。
  4. その回数帯を続けると決めてから、上限達成時の増量を検討する。具体的な増量手順は関連ガイド「筋トレの重量を増やすタイミングは?回数・余力から判断する記録術」へ。

REPS LOGで目標と実績を分けて残す

  1. トレーニングを始める前にメニューを編集し、対象種目の「回数・下限」「回数・上限」を設定して保存する。15〜20回なら、下限15・上限20と入力する。
  2. 記録画面では、各セットで実際に使った重量とできた回数を入力する。目標に届かなかった場合も、実績どおりに残す。
  3. 「強度・セット詳細(任意)」で、判断できたセットのRIRを記録する。セットメモには「今回から15〜20回/休憩120秒/息切れなし」など、変更点と実施条件を残す。
  4. 次回は履歴の重量・回数に加え、メモとRIRを見直す。数字だけでは分からない、前回との条件差を確かめる。

次のトレーニングで残すのは、目標の範囲、各セットの重量・回数、判断できた余力、変えた条件です。「何回が正解か」で迷い続けるより、選んだ条件を次回にも読み返せる形にしておきましょう。

よくある質問

15回以上だと筋肥大せず、筋持久力だけになりますか?

そのようには区切れません。若い男性経験者が20〜25回を限界まで行った研究でも、測定した筋線維断面積は増えています。ただし、軽い重量で楽に終えたセットまで同じ結果になるとは言えません。

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重量×回数の合計が増えたら、筋肥大の効果も高いですか?

その数値だけでは判断できません。回数帯を変えると合計も変わりますが、筋肥大を直接測ってはいません。変更後を比較の起点にし、同じ条件で各セットの回数・RIR・動作を照合します。

本文の説明・根拠を確認する →

参考資料と編集方針

  1. Mortonら(2016):経験者における高重量・低重量トレーニングの比較

    若い男性経験者49人・12週間。原著論文のPubMed公開抄録と掲載図の説明を確認。8〜12回と20〜25回を自発的限界まで実施した条件です。出版社全文は取得できず、抄録で確認できる対象・方法・結果に限定して紹介しています。

    参照日:
  2. Mitchellら(2012):負荷とセット数が筋体積の変化に及ぼす影響

    若い男性未経験者18人・10週間の片脚膝伸展運動。PMC掲載原著の抄録と対象者・方法の記述を確認。再アクセス時に認証画面となり全文通読は未完了のため、確認できた範囲の結果のみ紹介しています。小規模・特定種目の結果を全身の全種目へ一般化しません。

    参照日:

作成:REPS LOG(AI補助で作成)。研究の対象・期間による限界と、記録方法の例を区別しています。記事の編集方針